キム?それともヴィクトリア?
Bonjour à tous!
今日、2020年10月21日はキム・カーダシアン40歳の誕生日とのこと。仕事の関係上、ランウェイやセレブのヘア&メイクからトレンドを分析している身としてはもちろん、リアリティショーの先駆けともいえる「Keeping Up with the Kardashians」も随時チェックしています。
彼女の言動については賛否両論あるので一旦横に置いておきますが、私が純粋に尊敬しているのは彼女の“ブランドのつくり方”についてです。
ここ数年、セレブがコスメやライフスタイルブランドに参入するというのがトレンドになっています。80年代生まれの女性でピンとくるのはジェニファー・ロペスやブリトニーの香水あたりだと思うのですが、これは恐らく名前貸し。近年ではただの名前貸しではなく、ブランドのストーリーづくりや商品プロデュース、そして広告塔としてしっかりコミットしているセレブたちが多い印象です。
リアーナの「フェンティビューティ」や、発売後1分で完売&サーバーダウンしたことでも有名になったカイリー・ジェンナーの「カイリーコスメティックス」、グウィネス・パルトロウの「goop」、ジェシカ・アルバの「オネストビューティ」、ミランダ・カーの「KORA」この他にもレディ・ガガにジジ・ハディッド、セレーナ・ゴメス、さらにはドリュー・バリモアまで!
コスメプロデュースをスタートしたというニュースが去年からどんどん発表されるなか、今となってはプロデュースに携わっていないセレブを探す方が難しいのでは、と感じるほどです。
そのなかで私がずっと注目していたのが「ヴィクトリア ベッカム ビューティ」。過去に何回か「エスティ ローダー」と期間限定アイテムを発表しており、発売日に私もヴィクトリアらしいベージュリップを求めて百貨店に足を運んだもの。現にこのコラボアイテムは世界中で即完売になったほど人気のアイテムになりました。
ですが、ヴィクトリアが新たにローンチした自身のコスメに関して私は、少しがっかりしてしまいました。その理由は“ヴィクトリアらしさが全くない”からです。ヴィクトリアといえば、ベージュリップ、スモーキーアイ、切れ長アイライナー、頬のツヤ、そしてナチュラルスキン。トレンドに左右されることのない、タイムレスでミニマルなメイクルックを貫いてきた彼女だからこそ、期待は大きかったのです。
ですが、ラインナップを見るとレッドリップ(上の画像)なども推しているようで、彼女が持つキャラクターを生かしたものというよりは、万人受けするアイテムを揃えている印象。ヴィクトリアは果たして自身の赤リップを纏ってレッドカーペットに登場するのだろうか。そして本人はスパイスガールズ時代を他のメンバー以上に封印しているのに、今だに“ポッシュ”というネーミングを推す理由とは一体。そもそも、今の若い子は彼女が“ポッシュ”と呼ばれていたことを知っているのだろうか。
個人的にはブリティッシュライクで、媚びないスタイルが好きなだけに、肩透かしをくらったような気持ちになりました…(でも、ヴィクトリアは個人的に好きですよ)。
一方でキムは彼女自身に似合うもの、そして彼女の家族も好んで纏えるようなアイテムが勢揃い。自身のコスメを使ったチュートリアルや開発秘話などの話は意外にも(失礼ですが笑)、中身があるし熱量も違う。色みのネーミングも彼女の人生や現在のライフスタイルにまつわるものに由来するなど、その徹底ぶりには脱帽します。
どちらのブランドが好きかはもちろん好みが分かれると思います。私も年齢や好みを考えるとヴィクトリアのコスメの方を手に取るかもしれない。けれども、戦略や売上を単純に見ればキムに軍配があがっています。
ちなみに彼女の義妹が手がける「カイリーコスメティックス」も、フランスではミレニアム世代に大ヒット。フランス人はセレブブランドに興味ないのかと思いきや、豊富なカラーレンジのコスメにワクワクを感じるというのは全世界共通のようです)。
と、世界のヴィクトリア相手に自由に色々書いてしまいましたが。ヴィクトリアならではのブラウンに特化したリップコレクション20色とか出してくれればいいのにな、と思います。もちろんそのときは、彼女がブラウンリップに惹かれてきた理由や、彼女がこれまでリップと乗り越えてきた波乱万丈のストーリーとともに。リップ20色も、他社ブランドが47色のファンデーションを出していることを考えれば決してできないことではないと思います。
そして日本もこの流れを受けて、2〜3年後には芸能人がプロデュースしたコスメがたくさん誕生すると思います。その流れとどう付き合うかは自分次第ですが、成分やコンセプト含め、審美眼だけは養っておきたいものですね。
A bientôt !